「うげっ」
入手したリストをちらりと見て、茶越は頭を抱えた。
想像以上に、濃い。
(あいつら、ホンモノか?ホンモノじゃないか?)
ファンクラブまではいい。だが、隠し撮りはないだろう。
なんだよ体操服300円、寝起き500円って。
昭和の投稿雑誌か。
男が男の体操服姿見てどうすんだ。とくにどうってことないだろ。
お前ら目を覚ませ。
寝起きってなんだよ。洒落にならないぞ。
なんに使う気だ。あきらかに「実用」の匂いがするぞ。
それにどうやって撮ったこれ。犯罪だろ。
しかもプレミア版がネコミミって・・・
ヤンキーとオタクって紙一重なの?
それともなに?
ネコミミは非オタクの男子さえ萌えさせるパワーを持っているわけ?
男のネコミミなんて、お前、なあ・・・。
脳内でさえ突っ込みに大忙しだ。
団吾はなにげに体力があるなと感心する。
あ、その団吾が来た。
「お前、こんなん撮られてるぞ」
つきつけてやりたい気持ちをぐっと抑える。
団吾に罪はないのだ。気持ち悪くさせるだけ損だ。
「オナ○ット番長め」
ボソリとつぶやくだけにする。
「な、なにそれ」
意味がわからないなりになんかやらしさを感じたのだろう。
頬を染める団吾に茶越はため息をつく。
(だめだ、こいつ)
つい先日までは空気君だった団吾である。
注目されることになれていない。ゆえに危機感もない。
あたりまえといっちゃあたりまえか。
こんなんで、万一の時に切り抜けられるのだろうか。
冗談では済まされない。
目の前の、真っ赤になっている団吾はちょっとかわいい。
男のネコミミなんて・・・団吾なら似合うかもしれない。
(萌える、かも。)
こんな団吾の正体をやつらが知ったら。
ヤンキー知識のない茶越でも、暴走族の「落とし前」の儀式は聞いたことがある。
(やっぱり、オレがついててやらないと)
団吾を守れるのは自分しかないと思う。
根拠はない。守れる自信もない。
だが、なぜかそう思うのだ。
(いやだなあ。男とばっかりつるんでるせいか?)
それでも。
団吾が相手ならそれも悪くない気もして。
茶越はお宝リストをぐしゃりと胸ポケットに突っ込むと、
すでに舎弟たちに囲まれている団吾を目で見送った。
|