腐女子と本気で付き合いたい


「なぁ団子」
「なに」
「お前男嫌いの癖に男っぽいヤツが好きなんだな」
「もう、また同人誌引っ張り出してる!」
「だって暇だもん」
「パンピーはジャンプでも読んでてよ」
「だって面白いからこれ。お前の好みって少女漫画みたいなのかと思ったら
なに、むさくるしいのが好みなの?」
「二次と三次は別ですから」
「ふうん。へんなの。筋肉とか、想像で描いてんの?」
「うまい人のマンガ参考にして」
「ご苦労なこった・・・なぁ団子」
「今度はなに」
「明らかに穴の位置違くないか?」
「ぶっ」
「自分と同じ位置にあるとでも思ってんのか?」
「もう、穴なんて言わないでよ!乙女の夢なの!ほっといて」

どんな乙女だよ。
ていうか、乙女か?こんなん描いてるやつが。
熱心に机に向かっている団子にそーっと膝ですりよっていく。
椅子の背に手をかけて覗き込むと、団子は定規とGペンでせっせと線を引いていた。
なーんだ。エロいシーンでも描いてたらいじめてやろうと思ったのに。
いいや。いじめてやろ。こちとら暇で死にそうなんだ。

「なんだよぉ。お前男の体なんか全然知らないくせによぉ。こんなもん描いて・・・
いやらしい子だ」
「おっさんやめてください」

振り向きもしない団子にむっとしたが、
今触れると殺されそうなので後ろから囁くだけにする。

「こんなもん描いてるからこんなエロい体になるんだよぉ。けしからん!」
「エロいなんていうのは茶越くんだけです」

いや、エロいって。
貧乳だけど腰のくびれのすぐ下から尻がはじまっている
奇跡のナイスバディなんだって。
このエロさがオレ以外にわからなければいいんだけど!

「なぁ、どんな顔してこんなん描いた?想像しながらおまたを疼かせていたな?
そんなすけべな子はおしおきだ!」
「はいはい」

ちょ、言葉責めスルーかよ。

「茶越くんはそういうこと言いたくなる年頃なんだよね。
でもあんまり言ってると本当にしたくなっちゃうらしいから気をつけて・・・」
「もうしたくなってる」
「他あたって」
「団子ちゃんがいいの」
「いやだよ。そりゃあ百合本読んだりもするけど、ホンモノなんて!
そんな、乳首擦り合わせーの双頭バ○ブ使用なんて!」

いや、すんごい期待してるじゃないか、それ。

「やべえ、オレ期待応えられそーもないわ」
「ボク、貞操は大事にとっておくの」
「お墓の中まで?」
「う・・・」
「お前、男大嫌いだろ?バージンのまま天国に行くのか?
そんな無駄にエロい体してて」

ぴくっと団子の体が反応した。
きっと、真っ赤になって口をパクパクあけてるんだろうな。
くうう、かわいいぜ。

「だ・か・ら・さ、オレと遊ぼうぜ?痛いことしないから」
「・・・痛いこと、ほんとにしない?」
「しないしない」
「ひどいことしない?」
「それはどーかなぁ」
「え・・・」

耳元にエロっぽく吹き込む。

「お前の泣き顔見たいんだよ・・・見せてくれよ団子・・・」
「ばか・・・」

お、ペンが止まってるぞ。
チャーーーンス☆

「ふ〜ん、いい眺め。押し倒された団子ってそそる・・・じゃあ頂きます・・・」
「ちょ、待って!ボク心の準備が・・・や、やめ・・・」

※残念ですが、しばらく音声のみでお楽しみいただきます。

「ひあっ・・・同じとこばっかずる・・・」
「乳首ビンビンだ。やーらしい」
「そりゃ、そんなにいじられたら誰だってそーなるよ!
あ、そこは、だめだめ絶対!」
「ふんふん。○○○が疼いてるな。毎日おなにぃしているエロ○○○だ」
「う、嘘言わないでよっ!ぱかぁ茶越くんのばかぁ」

いいねいいね。もう半泣きだ。あと一押し!

「あのさ・・・」
「なに?」
「レズって・・・不毛だよねえ・・・」
「ちょ、おま、ここでそれ言うか!?萎えるだろ」
「萎えるもんないじゃん」
「そうだけど!気持ちが!」
「茶越くんどうやってイくの?順番?次ボクがやるの?ボクが嫌がったら?」
「あーもう、いいんだよ!オレが!お前のイき顔見られればそれで!
それだけでオレもイくから!」
「不毛だ・・・」
「だからそれ言うなって!泣かすぞ!
理屈ばっかり!これだからオタは・・・」

そのオタが好きなのはオレです。わかってます。

「嫌?」

嫌じゃないよ。くそぉ。

「なぁ、迷惑か?」
「ううん・・・。ボクなんかに・・・そーいうこと言ってくれるの、うれしいよ」

こういう問答は最初にするべきだったなあ。

「迷惑だったらまず部屋に入れません。君みたいなセクハラ魔」

だよな。オレもそうする。

「茶越くんかわいいのにかわいそうだね。
よりにもよってボクなんかに萌えちゃって・・・」

よしよし、と頭を撫でられる。
まったくわかってない。ほんとにわかってない。

でも。

なんか、こいつには勝てないのかもしれないな。
意外にも最強な気がする。腐った女子の癖にけしからん。
でも、ま、つまりは、そんなところがオレを引き付けるんだな。
ただ顔が可愛くて体がエロいだけのオタクならノーサンキューだ。
あれ?オレ、理屈言いが感染ってる?
オタクって感染するのかな?
それとも愛するものと一体化したいという願望の表れか?
寒っ。自分で言ってて寒っ。

ほんとにオレ、なに言ってんの?

オレはくるんと態勢を返して団子の太ももに頭を乗せた。

「団子」
「なに」
「膝枕」
「はいはい」

頭をぽんぽん、と叩いてくれる。

「そのかわり原稿手伝って」

はいはい。オレのせいで遅れたんだからオレが責任とりますよ。
むっちりとしたナマ脚の感触が気持ちいいからしばらく寝かせてもらおう・・・。
こういうこと、してもらえるのオレだけだろうなあ。へへ。
なんだ。これくらいのことでも所有欲が沸いてくるもんだな。
べつにヤんなくったって・・・。

「ねえ茶越くん」
「なに?」
「ローターって、使ってると不感症になるってほんと?」

知・る・か!大声で叫びたい。

つか、なんでそれをオレに聞く!知ってるの前提か!?そういうイメージか!?
もう、これだからオタは!好きだけど。くそ。



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