「兄貴は今日もすごかった!」
歌うように弾んだ声ときびきびと部屋の中を動き回る姿が気持ちいい。
「兄貴、今度はどんな対決見せてくれるんですか」
ほんとにいつの間にこんな体質になっちゃったんだろ。
舎弟たちに期待されたらビックリするくらいの力が出る。
とくに君の前ではかっこつけないではいられない。
これってやっぱり・・・うん、ボクも男だったんだなと思うと恥ずかしい。
あたりまえなんだけどね。
「ん?」
火讐くん、いつのまにかベッドに腰かけるボクの前でしゃがみこんでいる。
と、ちょこんとボクの膝に頭を乗せた。
「かっこよかったっす、兄貴」
そう言ってボクを見上げる猫のようにつりあがった大きな目はキラキラしている。
君はどうしてこう天然で誘うのかなあ。
「火讐」
ボクの手招きで、火讐くんはおとなしくボクの膝の上に座った。
ちょうど向かい合わせになった格好で下からキスをする。
ちゅ、ちゅ、と触れ合うだけのキス。
火讐くんが首に腕を回したのを合図に、ボクは一旦顔を離した。
乗っていた膝を崩されて、火讐くんはベッドに倒れこむ。
「んっ」
タンクトップ越しにちいさな突起をいじると、火讐くんは体を弾ませた。
布越しにつまみ、立ち上がったそれをくにくにと指の間で擦り合わせる。
「や・・・」
もう片方を、今度は唇で覆う。やはりタンクトップは脱がさない。布の上から舌でつつき、固くなったところに吸いついた。
ボク、一応ネットで調べたりハウツー本読んだりもしたけれど、
そんな付け焼刃より自分のしたいようにしたほうがいいみたい。
どっかの誰かで覚えた技巧より自然な兄貴のほうがいいって言ってもらうのは辛いけど。
実際は、君とつきあうようになってメイド喫茶通いをやめた程度なんだけどね。
バカみたいだけど、これがボクなりの操の立て方。
タンクトップをめくると、薄く綺麗に肉のついた胸に乳首がふたつ、ぷっつり立ち上がっている。
そんなに自分のと変わらないはずなのになんだかいやらしい。
甘噛みすると火讐くんは抗議の声を上げた。
「ちょ、焦らさないで下さいよっ兄貴」
ふふ、そんなかわいい顔で睨みつけたってちっとも迫力ないよ。
むしろ煽られてる気しかしない。火讐くんに限ってそれはないだろけど。
「やだって・・・」
さらにしつこく舐めたり吸ったりしていると火讐くんは体を曲げて身悶えた。
浮き上がった足を肩に担いで下着ごと短パンを引き抜く。
目の前に火讐くんのあれが・・・。
他人の、ましてこんな状態のを至近距離で見たことなんかなかったけど、見慣れるとまぁどうってことない。
少なくとも世間一般のこれよりは瑞々しいんじゃないかと思う。
どこでどう比べたのかと言われると困るけど。
まあもちろん持ち主の問題だけどね。
なんてバカなことつらつら考えてるのはオタのボク。
兄貴のほうは間髪いれずにそれを口に含んでいる。
「ひっ・・・」
音を立てて吸い、舌を這わせる。
吸いながら太ももを撫でていた手を、火讐くんに掴まれた。
「兄貴、オレにも・・・」
乱れた息のまま、態勢を変えてボクの上になる。
手際よく服を剥ぎ取ると、(ボクより上手い!)胸やお腹を舐め、すごくいとおしげに撫でてからボクのを口の中に納めてしまう。
猫がミルクを飲むような控えめな水音を立てながら一心不乱に舐めている姿がなんとも、なんとも・・・ああー。
眺めているとすぐに出ちゃいそうだったので、髪をつかんで引き寄せた。
「んんっ・・・」
乱暴なキスに、火讐くんは腰を引こうとしたが、逃がさないと舌を絡ませる。
「んー・・・んー・・・」
好きなだけ掻き回したあと、ようやく火讐くんを解放した。
ぴったりくっついた体勢はそのままだ。
火讐くんが息を整えている間に、枕の下からジェルのチューブ(通販で入手したドイツ製のア○ル専用潤滑剤)を取り出す。
手早くそれを塗りこんだ。
「はぁ・・・」
少し声を出しただけで、火讐くんはまだ脱力している。
中でゆっくりと指を動かすたびにしなやかな体が物欲しげに震えた。
ある箇所に触れると、電気が走ったように火讐くんの体が跳ねた。
息遣いが次第に切羽詰ってくる。
「あ、・・・そこばっかり、イヤだ・・・」
火讐くんは腰を揺らして喘いだ。
きっともう自分が何をしているか分かっていない。
ストイックな火讐くんの乱れた姿に喉が鳴り、自分でぎょっとした。
ボクの中で凶暴なオスが目覚めている。
「ここか?」
「ん・・・いいっ・・・」
暴走しそうになる自分を抑えながらやさしく前を擦ってあげると、待ってましたとばかりに腰を突き上げてくる。
なんで兄貴相手だとこんなに素直なのかなぁ。
ボクは痛いほど張り詰めた自身を引き抜いた指を追うように腰をくねらせる火讐くんのそこにあてがった。
「入れるぞ」
「ああ、はい・・・っ」
すんなり入るのはサイズの問題だけとは思いたくない。
「あ、兄貴・・・」
「なんだ」
「兄貴とオレとで一つに・・・兄貴、最高す・・・」
そういってにっこり笑う。
「オレ、生まれてきて良かった・・・」
「火讐・・・」
獣が牙をむく。
「お前可愛すぎる!」
歯を食いしばってボクは猛スパートをかけた。
お尻を揉みながら中をぐちゃぐちゃに掻き回すと、火讐くんは全身をわななかせて激しく感じてくれた。
「あ、あ、兄貴っ、兄貴っ!」
精一杯、精一杯応えたい。
抜き差しを続けながら火讐くんにキスをした。
声、ものすごく聴きたいけどまだ夕方だからね。
口の中を侵す舌に火讐くんは舌で応えている。
「んっんっんっ・・・」
火讐くんは涙を流す。口を塞がれていなければ、ケモノのような声が聴けたかもしれない。
ケモノになってる。ふたりで、ケモノに・・・。
何度も突き上げ、多分二人ほぼ同時に達した。
火讐くんが好きなのは兄貴だけど、それもボク。
前は悩んだりしたけど、こんなボクがこれだけのことができたんだもの。
兄貴のほうのボクは「底力」というやつだと思ってもいいんじゃないかな。
精一杯ボクを愛してくれる火讐くんに精一杯の力で応えているのはホント。
いずれオタのほうのボクでまったり抱き合えるようになる日もくるんじゃないかと思うし。
この子のこんなかわいい姿は兄貴のほうでなきゃ見られなかったと思うし。
ぶっちゃけ、オタバーならよがらされるのはボクのほうって気もするし(汗)
とりあえず、今日も兄貴、お疲れ様。
自分の中の兄貴に感謝しながら、ボクはいとしい恋人のかわいい寝顔にキスをした。
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