兄貴のお仕事


ほんっとうに、昨日はハードな一日だった・・・。

でもチョコたんが無事でほんとによかった・・・。
あのチーマーどもは人間として間違いなく底辺だけど
たったひとついいところがあるとしたら
気の長いとこだと思うよ・・・。
それとも真性の変態なのかな?
どうせなら兄貴の目の前でとか、どんだけSなんだって話・・・。

と、バカなこと考えてる場合じゃなかった。
聞くところによると、今日の火讐くん、めちゃめちゃ怖いんだって。
やだよお。なんでみんなボクにそういうの期待するかなあ。
と、とにかく火讐くんのクラスに・・・。

ひぃぃ。
ほんとに怖い!
具現化できそうなくらいの怒りのオーラを全身にまとってる。
みんな避けて通っているよ。そりゃそうだよ。ボクだって避けたい。
でも、

「あ、兄貴」

ボクを見つけると、顔つきが変わった。

「昨日はありがとうございました」

そういってにっこり笑う。
心なしかオーラの色も暖色系からいつもの寒色系に戻った感じ。
良かった。機嫌悪いわけではなさそうだ。
あれだけボコボコにしてもまだ気が済んでなかったのかと
びくびくしてたよ。

「どうだ。知世子の様子は」
「おかげさんで落ちついてます」
「そうか・・・」

あたりさわりのない会話をしながら教室を出る。
ボクは別に用事もなかったけどなんとなく
火讐くんのあとから派遣部室に入った。
ん、まだ誰もいないみたい。

ちょ、火讐くん、なにさりげなく引き返して鍵閉めてるの?
そして、なぜボクのそんなところに手をかけてるの?

「火讐、窓から見える。見えるから」
「見えても平気っす」

ボクは平気じゃないですから!!
つか、なんでいきなりそれ?なにひとつ脈絡ないよ?

「昨日は」
「ん?」
「いろんなことが一気にありすぎて。まだなにがなんだかわからなくて・・・」

うん。そうだね。
チョコたんあんな怖い思いしたんだもの、
妹想いの火讐くんがすごく怒るのは当然だと思うよ。
でもそれとこれとは繋がらないよね?なにひとつ。

「もやもやしたものが収まらなくて・・・兄貴の顔見ると止まらなくなって」

え、繋がるの!?
ボクよくわかんないけど、そういうものなの?!
男なんて単細胞に出来てるとはいうけど、
さすがにここまで直接的だと萎えちゃうよ・・・。

でも、ああ。

一体いつからボクは、
この欲望剥き出しのアイスブルーの目に見据えられて
興奮するようになったんでしょう。

いけない、いけないとは思っていても体が勝手に熱くなる・・・
なんて同人誌だけかと思ってたよ・・・。

と、とりあえず、ボクを好きにしたら
(これでもつっこまれる側じゃないんですけど・・・)
ころっと機嫌直るのは経験済みだから、
結果オーライ、かな・・・?

うう、お母さん、ごめんなさい。
ボク、どんどん悪い子になっていきます・・・。

29話読んで突発的にできた話。


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