家族の肖像
「チョ・・・知世子!?」 さて、帰ろうかなと階段を下りたところで、 ぱったりチョコたんと鉢合わせしちゃった。 「番長さん、いらっしゃい・・・」 うん、こんなときでもちゃんとあいさつのできるチョコたんはいい子だと思うよ。 でも、普段着ってことは、ある程度前から家にいたってことだよね・・・? 後ろからついてきた火讐くんもさすがにまずいなって顔してるはず。 共働きで妹さんも忙しいという事情に甘えて、 火讐くんの家によることが多くなってるんだけど、 当然こういうことも予想してなくちゃダメだった。 まだ親御さんでないだけ良かった・・・け・・・ど・・・。 「すまん。気持ち悪かっただろ」 ボク、兄弟いないけど、わかるよ。 お姉ちゃんが家人の留守中に男を連れ込んでたら嫌だってことは。 ましてお兄ちゃんだもんね。 「あ、いえいえ」 チョコたんはごく自然なようすで、顔の前で手を振った。 「お互いに離れがたい関係なんだなってわかりますから、お兄ちゃん見てると」 「番長さんならいいんですよ」 うう、知世子ちゃん、天使みたいだなぁ。 どうしてこういう子がいままでボクの周りにいなかったんだろ・・・。 「大丈夫です。そんなにうるさくなかったですし・・・」 そんなに、って、少しはうるさかったってことですかぁ〜!? いろいろ思い出しちゃうよ。わー、恥ずかしいっ。 え、ちょっと、火讐くん、 何でこの状況でそんなに誇らしげな顔してるの? 「知世もおとなになって・・・」 目に涙までうかべてそんなこというんだ! 逞しいにも程があるよ・・・。 あ、ポジティブシンキングの家系なのか・・・なるほど・・・。 この分だと、こんどはお母さんあたりにふつーに 「息子をよろしく」なんて言われちゃいそう。 家族揃って勝てそうにないな、オタでは・・・。 |
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