青春してます
団吾番長は、もてる。 舎弟にもててるのは言うまでもないが、意外に一部の女にも人気だ。 でも、本人はちっともうれしそうじゃない。 告ってくる女の子を番長らしくクールに振るのは 何度経験してもイヤなものだという。 それでも、好かれて悪い気はしないだろ、と聞くと、 好かれているのはあくまでも「番長」であって、 彼女たちの望むようには付き合えないから、と団吾はいう。 こいつよくわかってるじゃないか。 せっかくもててもおつきあいはできない。 男としてかわいそうな立場だ。 「ヤンキーってなんでもてるんだろ・・・」 ため息をつきながら団吾がつぶやいた。 「バイクに乗りたいとか・・・?うーん」 「悪いこと教えて欲しいんだろ」 あてずっぽうに言ってみる。 「悪いこと?」 「酒とかタバコとかシンナーとかお薬とか」 おっと我ながら危険な発言だ。 ほら、団吾が「そんなことしないよ」っていいたげな顔してる。わかってるって。 「あと・・・激しいエッチとか」 「・・・それヤンキー関係ない」 「なんか慣れてそうじゃん」 考えてみたら色気づいた少女には刺激的かもしれないな。 ヤンキーなら容姿を問わずもてるという話も嘘じゃないかも。 「その点、オタとつきあってもいいことねーよな」 「余計なお世話だよ」 「彼女のことなんて絶対二の次だし。萌えが最優先だろ?」 「う、そんなことは」 「ひとつだけ可能性あるとすれば、同じようなオタの女とくっつくこと。 うわ、しょっぺぇカップルだな」 ヤベ、調子にのりすぎた。 なんでオレは好きなやつの前でほどこうなっちゃうんだろう。 「ごめん、団吾」 「いいよ。大体あってるし」 「オレは団吾好きだぞ?」 「茶越くんに好かれても別に・・・」 「ああ、ひでーひでー。オレお前のこと大好きなのに」 「はいはい」 「お前がいつになくもててるからいじめてやりたくなったんだよー」 好くのも好かれるのもうまくいかない。 まあ、仕方ないか。 だってオレたちまだぴっちぴちの15歳なんだもん。 |
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