災い転じて福と成す


ほんとうにいろんなことがあったけど、なんとか片がついたみたい。
これもみんなのおかげだよ。
なんだかんだでいい感じになってきたよね、派遣組も。
わ、もう明け方だよ。学校大丈夫かな・・・。
ん?

「兄貴・・・」

チョコたんを連れて先に帰ったはずの火讐くんが
朝焼けの中、ボクの家の前にちょこんと座って待っていた。

「なんだ、火讐、こんな時間に・・・・・・んぐっ・・・?」

いきなり唇を奪われた。それも激しく。

「んん・・・」

火讐くんは思いっきり舌を絡めてくる。

「か、火讐・・・」
「すいやせん、兄貴・・・」

そりゃ、最近こういうことをする仲になっていたけど、
いきなりすぎない?

ぎゅっと抱きつかれて息が出来ない。

「と、とにかく、中入れ」
「はい・・・」

ボクは急いで火讐くんを部屋に通した。

「どうしたんじゃ」
「気持ち悪くて・・・」
「なに」

その場に一緒にいたわけだけど、ボクも無我夢中だったし、
ボクの見てなかったところで、なにかあったんじゃあ・・・?

「・・・全然たいしたことじゃないんすけど・・・」

珍しく歯切れが悪い。

「なにされた」

引き剥がして顔を覗き込む。
火讐くんがショックを受けるくらいだから
並大抵のことじゃないはずだ。

「兄貴・・・」
「言え」
「腰に・・・へんなもん押し付けられて・・・」

ボクから目をそらしながら答える。

「それが気持ち悪くて・・・あ、兄貴?」

抱きしめると、火讐くんの体は腕の中に収まるくらい細かった。
この体を蹂躙しようとしたやつらがいるなんて、
ボクは生まれてはじめて、人を憎いと思った。

「あいつら、一人残らず皆殺しにしてやるべきだった」
「兄貴・・・」

口に出すといつものホラみたいだけど、今日のはちょっと本心。

頬を手でつつんで、まっすぐに見つめながら囁く。

「忘れろ。あんなけだもののようなやつらのことなんか」
「兄貴・・・」


火讐くんの頬は紅潮し、目はキラキラしている。

「お前から、あいつらの痕を消してやろうか・・・?」
「はい、兄貴が痕をつけて・・・このままじゃ、いやだ・・・」

火讐くんは、まっていたようにボクの背中に手を回してきた。

「いいのか?お前をオイのものにするぞ?」
「・・・いいです。でも兄貴もオレのものになってくだせぇ・・・」
「ああ。全部、お前にやる・・・」

チョコたんは火讐くんが慰めてあげたらいい。
火讐くんはボクが慰める・・・。

正直、ボクにこんな甲斐性あるとは思わなかったよ!
これも兄貴効果・・・なのかな。

「ほかのヤツのことなんか考えるな・・・
オイのことだけ・・・考えればいい・・・」

素のボクなら絶対に言えない同人誌みたいな文句が自然と口を突いて出る。
後で思い出したら死にたくなるだろうけど
火讐くんが喜んでるからいいや・・・。

「兄貴っ・・・兄貴がオレに、こんなにっ・・・」

「兄貴がこんなに・・・」

ん、どうしたの火讐くん。

あ、しまった。

「こんなにおおきい・・・」
とかいいたかったんだよね、きっと(泣)

「ち、ちいさい、ちいさいけど・・・かわいいす!兄貴!」

か、火讐くぅん・・・。

「このちっさいのをオレにブチ込んでくだせぇ!」

ああああああ。
「おっきくて太くて硬いの入れてぇ」「いい返事だ」
なんてのはよく見るけど、ちっさいのをブチ込んでなんて、聞いたことないよ!
いや、ほかにいいようがないんだろうけど、
精一杯心がこもってるのはわかるけど、
やっぱり、ちょっと・・・ねえ。

「兄貴のならちいさくていいんす!兄貴のだからいいんす!」
「火讐、もうよい、わかったから、そう何度もいわんでも・・・」

でも、すごく愛は感じるよ。
ちっさくてもいい、なんて、本当に愛がなきゃいえないよね・・・。

「兄貴のだからこそ何よりも愛おしくて欲しいんです!」

うん、わかった。よくわかったらそれ以上言わないで・・・。
萎えちゃうから、ね・・・。

ああ、でも、火讐くんはすっかり元気になったみたいだから、いい、かな?
なんでこううきうきしてるんでしょうね、この子はほんとに・・・。

「兄貴、うれしいっす」

うん、ボクもうれしい。うれしいから頑張っちゃう。
学校いけなくていいよ、今日はもう・・・。


29話ネタ団火801。


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