欲しいのはいつも兄貴


なに?この状況。

「兄貴、今日親、いないんです」

そう、火讐くんがはにかみながら告げたのは今朝のこと。

「夕食、知世が作るんすけど、兄貴にもぜひ食べて欲しいって」

それを聞いて、ファンクラブ会員bPのまろん同盟の血が騒がないわけがない。
喜んでお邪魔しました。
チョコたんの手料理は美味しかった!
ハンバーグとサラダとお味噌汁というシンプルなメニューがかえってオタのボク好みだったしね。
御飯の後はチョコたん主演のアニメ鑑賞会なんかをやって、
盛り上がって、(おもにチヨコたんとボクが)、
「せっかくだから三人で寝ましょ」
というチョコたんの提案で、居間に三人分の布団を並べて早めの就寝タイム。

そこまでは良かった。

さすがに年頃の女の子と並んで寝るわけにはいかないので
チョコたん・火讐くん・ボクの順で川の字になったんだけど、
電気を消して早々に、なんか隣でごそごそやりだしたなぁ、と思って顔を向けたらえらいことになっていた。

「はぁ・・・おにいちゃん・・・」
「知世・・・」

あの、ボク、身の置き所がないんですけど。

わーー、首に腕を絡めて、ちゅっちゅっと音のたつキスしてる。
チョコたん、スリップだけになってるし、いつのまに脱いだんだろ?
て、ボク、兄妹がからまってるのを黙って見てなくちゃならないの?

と、チョコたんと抱き合ったまま、火讐くんがボクを見た。

「兄貴・・・きてくだせぇ・・・」
「あ・・・」

あれ?「三人で寝ましょう」ってそういうことだったの?
寝るってそっちの寝る?
たんに近親相姦したいだけじゃない?
ボクいらないんじゃない?むしろ見て欲しいとかじゃない?
ねえ。

ボクの「??」なんていつものようにガン無視し、
火讐くんは起き上がってチョコたんの肩をやさしく叩いた。

「ほら、知世、知世のかわいいところ、兄貴に見てもらえ」

え、え、え?

促されて、チョコたんはスリップを脱ぐ。そして・・・。

「きゃっ」

おっと、叫び声聞かれてないといいのだけど。
たいへんなポーズをとるチョコたんから、ボク、つい目をそらしちゃった。
だって・・・アレってグロイって先輩オタさんが言ってたんだもん・・・。
でも、見なきゃだめかな?へんに思われるかな?
そろーーーーっと目を開けてみる。

「あ、あれ・・・?」

こんななの?意外に・・・。

「ぴんくですべすべして・・・かわいらしい」
「でしょ」

て、火讐くん、なんで自慢げなの(汗)

「触ってやってくだせぇ」
「あ、ああ・・・」

うーーーん・・・。
兄貴の女初体験がまさかまさかチョコたんになるとは・・・。
複雑な思いに浸りつつも、ちょん、と指先で触れてみる。

「きゃん」

途端にかわいい声を上げて背中をのけぞらせるチョコたん。
ボクはあわてて手を引いた。

「い、痛かったか?」

こわごわ尋ねると、チョコたん、真っ赤になってうつむいちゃった。

「なに言ってんすか。そこが一番いいんすよ」 

なに兄貴に手ほどきしてるの火讐くん・・・兄貴は百人斬りのはずなのに・・・。

「でもあんまり強く触っちゃダメっすよ。さあもう一回」

火讐くんは一体なんだ、指南役か!
そもそもなんでそんなに詳しいのさ・・・。
童貞だって聞いてたけど、まさか、妹と何回も寸前までやってるとか・・・じゃないよね・・・ありうる。ありうるぞ。
妹は女のうちに入らないからノーカウントとか。
妹の体に関してはそのへんの脱チェリー組より熟知してるっぽいもの・・・。
あ、そうだ。

「だ、だめだっ」
「兄貴?」
「ほら、あれが、あれがないと子供が出来てしまうではないか」 
「それならありますよ。はい」

ちょ、なに用意してるのーーー! 

「サイズはSでよかったですね?」

改めて確認しなくてもSです(泣)

「オレがはめてあげます」

うう、そんな火讐くんにちょっと萌えちゃった自分が悔しい。

「えっと・・・口でやる方法は・・・」

わーーーーー!!前萌撤回!

「そんなソープ嬢みたいなことやめろっ。
ふつーにでいい!ふつーに・・・て、やることになってんのーー!?」

流されてる、確実に流されてるよ・・・!

「そうっすか」

火讐くんはちょっとつまらなそうに、手でそれをボクの・・・あーー・・・いつのまにかしっかりしちゃってる・・・ソレにかぶせた。

「はい。つけましたよ」

ほんと、火讐くんは自由にさせると何をしだすかわからないんだから・・・(泣)

「知世、怖くないからな。にいちゃんが手握っててやるから」
「うん」 

・・・・・・かしゅうくん・・・もう君がやればいいんじゃない・・・?

それでも兄貴がやることに意義があるの?

火讐くん、横になったチョコたんの立てた膝を両手で無残にも割って・・・
ああああああ・・・なんてあられもない格好!

「兄貴、さあ!」 
「う・・・」
「さあ!知世をおとなにしてやってくだせえ!」 
「う・・・う・・・・・・・・・」

ていうか今まさにボクもおとなにされそうになってますがこれ。

申し訳ないな、と思いつつも、つい、まじまじと眺めながら、目の前のピンク色の器官に入れていいものかどうか本気で思案する。 
どどどどどどどどうしよう。
やっていいですか??いいのかな?いいんでしょうか、いいんですよね?いいのか!?
あーもう!

「火讐、落ち着いてよく考えてみよう」

いいわけないでしょ!!

「知世子にはまだ早いんじゃないか?
それに、こういうのは結婚するまで取っておいたほうが」

あれ?これじゃボクがチョコたんと結婚するみたいかな?

「それに、この状況はあまりにも異常だ。知世が後悔するぞ」 
「う・・・」

自分でも正論だと思う兄貴の説教に、火讐くん、たちまちしゅんとなった。

「兄貴・・・すんません」

そうしおらしくされるとかわいそうになっちゃう。

「オレ、焦りすぎましたね。どうしても知世をもらってもらいたくて・・・」

おぉ、なんとか完全回避した!

「2年たったらしてくれます? そんときはふつーに」

と思ったらできてなかった!?

「でも・・・二年後なんて・・・どうなってるか想像できない」

え、え?また火讐くんの中で勝手に話進んでるっぽい?

「だめだ!やっぱり今!今入れてくだせえ!」

ああ、火讐くんは今に生きるヤンキーくんだからね・・・。
でもそれはないよ・・・。

「火讐、落ち着け(汗)」
「だって兄貴が、兄貴が二年後もオレのそばにいてくれるなんて保証ないでしょう」

伝わる。これは火讐くんの必死の叫びだ。

「今、オレたちに兄貴を焼き付けて、お願いしやす」
 
今にも露をこぼしそうな大きな目を直視するのが辛い。
火讐くんの気持ち、判るから切ない、切ないよ。

「お前には焼き付けてるだろう・・・それでは足りないか?」 

声に、精一杯の情愛を込めたつもり。

「火讐、いるから。二年後も、側にいるから」

「だって兄貴は、みんなの兄貴で・・・オレなんていつ飽きられるか・・・
こんなこと言うつもりなかったけど・・・」

言わないで。それ以上言わないで。泣きそうになるから。

「ああ、女々しいこといってすんません、兄貴。忘れてくだせぇ」」

火讐くんにこんな告白させたくなかった・・・。

「知世、ごめんな。酷いことして」 
「おにいちゃん、私なら平気だから」

チョコたん、火讐くんを気遣うように微笑んだ。
 
「おにいちゃんが望むようにしてくれていいんだよ」

チョコたんいい子だなあ。ほろりときちゃう。
うん。
こんなつるつるぴかぴかのバージンの体を前にして、
「お願いだから勘弁してください」状態になってる男、きっとほかにいないけど。
情けない。情けないけど、これで正しいんだ!

「火讐、かわいい妹にいつまでもそんな格好させてちゃいかん。服着せてやれ」

据え膳食わぬは男の恥。
されどただ与えられるままに食らうてしまうのもまた男の恥ぞ。

「知世子、オイはなんともないから、負担に思っちゃいかんぞ」

よし、これでこそ兄貴だ。これでようやく一件落着、かな。

「兄貴・・・」

ああ、火讐くん、しおれた花みたいになってる。
 
「すんません・・・またバカなこと頼んで・・・」
「ほんとにな・・・お前というやつは・・・」

いつもいつも心臓がいくつあってもたりない。

「だが、かわいいぞ」

だって、ボクのこと好きだからなんでしょ?
そんな君をかわいく思わないわけいかないよ。

「お前のそんなところがたまらなくいとしい」

「兄貴・・・」

あ、今、きゅんという音が聞こえた気がした。

「知世、しばらく部屋戻ってろ」
「え・・・」

え・・・?え?

「兄貴ーーー!!」

なんかスイッチ入っちゃった?
ガバッと押し倒され、まだつけたままだったゴムが奪い取られる。
て、考えてみればすごい間抜けな格好でかっこいいこと言ってたんだ(汗)

「こんなん、こんなんつけないで、ナマ兄貴をくだせぇ」 
「ナマ兄貴て・・・ビールじゃないんだぞ!」

言うに事欠いて・・・いや別に事欠いてないだろうけどさ(汗)

「贅沢は言わない。今、ここに、兄貴がいてくれたらいい」

火讐くんが本当に幸せそうにそう言うから、ボクもうれしくなっちゃう。

「兄貴がここで・・・オレに屹立してつっこんでくれさえしたら・・・」
「贅沢言ってるからそれ(汗)」 
「ささ、やりましょう兄貴!」 

結局いつもと同じですかーーーー!!?

それでこそ火讐くん


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