一家に一匹どうですか


ボクがオタクってこと、
バレたら絶対幻滅されるって思っていた。

なのに、嫌オタのはずの火讐くんが一番積極的に
ゲームにアニメにトライしている。
ありのままのボクを受け入れようとしてくれてるんだと思うと
こんなに愛されていいのか不安になるくらい。

だから、ボクも、ちゃんと応えないと。

「火讐くん・・・あのね」

ボクの部屋で、真剣な顔で向かい合う。

「なんすか」
「実はね、ボクが、ああいうことしたのは、君にしたので全部、なんだ・・・」

きっと、いっぱいいっぱい悩ませたと思う。
ボクの無責任なホラのせいで。

「軽蔑、するかな?」
「・・・まさか」
「え」
「すげーうれしいっす」

ボクの好きな輝くような笑顔。これっぽっちもボクを責めようとしない。

「兄貴のかわいいの知ってるのはオレだけってことっすよね?」
「あ、握っちゃダメっ」

どうして君はそういつでもどこでもなの・・・。

「こいつめっ。これからもっともっとかわいがってやりやすよっ」

ああ、でも、ほんとにいい子。

「いっちょまえに固くなった」

いい子、なんだけど・・・。

「触って欲しい?舐めて欲しい?どっちだ?ん?」
「どこに話し掛けてるの(汗)」 

君がこんなにお茶目さんなんて知らなかったよ・・・。


「兄貴、でも、筆下ろしがオレなんてがっかりでしょう」
「そんな、そんなことないよ!」

さらっと言ってるけど、火讐くんってそんなこと考える子だったんだ。

「うれしいよ。ボクなんかを求めてくれる火讐くんで・・・
そりゃ、あの時は、びっくりしてそれどころじゃなかったけど、
今となっては良かったよ」 

正体バレして良かった。嘘ではなく本心を伝える努力ができる。

「これも、多分火讐くんを傷つけないためのサイズなんだと思う・・・うん」 
「兄貴・・・」

きっとそういう運命なんだ。
火讐くんに愛でられたり癒されたり可愛がられたり好き放題されるために
生まれてきたんだ、これは、きっと。
(ちょっとヘンかな?自分でもなに言ってるかわからなくなってきたぞ)

「そうっすね。おかげで初心者同士でもうまくいきましたし・・・」

うんうん。良かったよ、小さくて・・・。

「お前のおかげだぞ」
「あ、キスしちゃだめっ」

マジでペット感覚ですか!大事なワンちゃんかにゃんこ扱いですよそれ。

「だから、なんと話してるのっ。
やめて!ボク本体が冷静でいられなくなるからッ」

ほんとにもう、君って人は・・・。

「真面目になりなさいっ」
「オレは真面目っすよ。大真面目だ」 

だから、真面目な顔でにぎにぎしないで(汗)

「一家に一匹兄貴の珍」
「なにそれ!」
「うちで飼いたいくらいっす。
いや、どうせならつがいで2匹・・・」
「気持ち悪いから!しかもこれオスだから!つがいなんてないから!」

一家に一匹兄貴の珍て・・・もう。
あ、この涙は好き勝手弄ばれてるからじゃないから、違うから。
嬉し涙だから、うん。
こんなお茶目を言い合えるふたりになれてよかったよ、ほんとうに、ね・・・。





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