オタとヤンキーのお正月

「兄貴、姫始めやりやしょう！」

・・・火讐くん、それ、メールで御宅田くんも言ってたよ。
違う違う怒らないで｡
「今ごろは姫初めでござるか？」って。
オタとヤンキーさんって古臭い言葉が好きって点で似てるのかな。

「姫始めです。ひ・め・は・じ・め！」

うん、きっと舎弟さんたちにでも吹き込まれたんだろうけど、
玄関先で胸を張って連呼するような単語じゃないからね？それ。
それと、うち両親いるけどいいの？ああ、問題ないんだ・・・君はえらいよ｡
じゃあ上がって・・・。

ああ、火讐くん、ボクの両親にそんなにこやかな顔でお年始の挨拶できるんだ・・・。
これからやることを思うと胸がぎゅっと縮むよ、ボクは・・・｡

でもさ、一年の系は元旦にありっていうよね？
今年一年中やることになっちゃうけど・・・あ、願ったり叶ったりなのね｡
バカなこと聞きました。
ああ・・・昨日百八つの煩悩を払ったばかりなのに・・・。

「今年も最後の日に払えばいいんですよ」

う、うーん。
バカみたいかもしれないけど、ボク、君のそういうとこ、好き・・・。
欲望がねじまがって螺旋階段を築いているようなボクらと違って
まっすぐなとこ、すごくまぶしい・・・。

「じゃあ煩悩の数だけするってことで。とりあえず」

えーーー。百八つ？しかもとりあえずなの？

「百八つの技でもいいです」

そんなにないよ！知らないけど・・・たぶん。
あ、まって。まだ言ってなかった。
今年もよろしく。

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