そんな君でいて
「ああん・・・だめっだめっ・・・赤ちゃんできちゃうッッ」 「じゃあガンガン種付けしてやりやす!いい子を産んでくださいよっ!」 ドン引きするかと思ったら、ますますヒートアップするんだ!? ふああ、火讐くんらしいなあ・・・。 こんなに情熱的に、獣のように求められたら、きっと誰だってどうなってもいいって思っちゃうよ。 食べて食べてって思うよ・・・。 その情熱、ボク以外の人に向けないで・・・。 ボクは食べ尽くしていいから・・・。 「ばかだねえボク」 切羽詰っていたとはいえ、自分の発言がおかしくてたまらない。 「でも、火讐くんの子なら、可愛くて強い子が生まれそう」 「できるわけないでしょ」 あ、わかってたんだ。なんだ。あたりまえか。 「できないから思い切りやれるんすよ」 ああ、まったく君は。 「なに笑ってんすか」 「いやね、BLの受けキャラには赤ちゃんできないことを嘆く子も結構いてね・・・」 へんなのって顔してる。そうだよね。 「君の前向きなところが好き」 「オレも好きっすよ」 「相手がボクであることに関して、ほんとにマイナスのことなんてない?」 「ひとつも」 「ひとつも?」 「珍がちいさいのもガンガン動けるから良かったし」 それが一番に出てくるってことはやっぱり気にはなってるんだ。 「つるつるのやわらかい手も撫でられごこちがいいし」 固い指がボクの指に触れる。 「目が近いのも目を細めてオレを見る顔が色っぽくていいです」 眼鏡なしでぼうっとした視界だと誰でもあんまり変わらなく見えるんだけど、 こうして近くに居ると綺麗なのがよくわかる。 「兄貴はサイコーです」 「君もね。君もサイコウ」 火讐くんといたらこんな問答なんか無用で元気になれるもの。 今まで萌えたことのないタイプだけどいとしいよ。 「実はオタクなのも・・・なにかいいことあるかなあ」 まだやってたの? 「何かあるはずです。思いつかないけど」 うん、アリガト。でももういいから。 その件に関しては真面目に考えれば考えるほどどつぼにはまるから。 「知識がないから思いつかないんですね・・・すいやせん。 オレ、しっかり勉強しやすから」 「いいの!君はそのままで!」 「兄貴?」 「ボクが言うのもなんだけど、オタクになんかなっちゃだめ! 万が一にもボクの好きな君の男らしさを損なうようなことはやめて! ボク、君が思っている以上に君にはまっちゃってるんだから!」 一気にまくし立てて、背中に回した腕にぎゅっと力を込める。 「裸眼でもはっきり見えるくらいに、いつも近くに居て」 「はい」 「君の気が向いたときに食って食って食らい尽くして」 「もちろんです」 前はこんなことを言うと嫌われるかなって思ってたけど、 もうわかってる。君はそんなんじゃないって。 「男らしくなくてごめん」 「兄貴だからいいんです。お互い様ですし」 熱い息と共にぞくぞくするようなハスキーボイスが耳に吹き込まれる。 「オレも兄貴の男らしさにメロリンQですから」 内容はうれしいけど、表現が絶望的に古いよ(汗) でもそんな君でいて。 |
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