馬刺しチョコって美味しいの?


「火讐くん、ボクにくれるものない?」
「まさか兄貴、チョコ欲しいんすか」

わかってたよ。
火讐くんが「そんな女々しいことできるかっ」てタイプだってことくらい。
わかってたけど、カップルだもん、ちょっとだけ期待してたのに。

いいもん。要次くんがわざわざ家まで持ってきてくれた
馬刺し入りチョコケーキヤケ食いしてやる。ふんだ。

「嘘ですよ、はい」
「火讐くん!」
「これは知世から。オランダの冬季限定品らしいです。
オレなんて、兄貴には特売の78円のチョコで分相応だと思いますけどね」
「酷いよお」
「これはオレから」
「アリガト。これはボクから。唐辛子入りで体にいいよ」
「ありがとうございやす」

特売ので十分なんて憎まれ口叩いたくせに、
黒い箱に金文字の入った豪華なの選んでくれてるじゃない。
火讐くんとチョコたんがチョコ選んでる図って想像するとほほえましいな。
しかもボクのためになんて。

「なんなら、MINI珍に塗って舐めとってもいいんですよ」
「ひりひりするよ!しかもボクがいつもそんなことさせてるみたいだし!
だめなの!今日はボクががんばる日なんだから!」
「なんでまた」
「名前的にもチョコを、いや、レイトをもらう日でしょ」
「え・・・」

火讐くん、目をまるくしてまじまじとボクを見る。

「あ、イヤだった」
「いや、いいですけど、なんか照れる」

ぷいとボクからそらした顔が真っ赤になっている。
舎弟たちの中で火讐くんと紋武くんだけ最初から苗字呼びだったからね。
強気な火讐くんがこんなんで恥らうなるなんて新鮮。


「れいたん」

肩に覆い被さって耳元に囁いてみると、

「うわ、やめてください」

イヤイヤと身をよじって逃れようとする。これは面白い。

「れいたん、かわいい」
「あーもう、普通にしてください、普通に」
「やだね。れいたん」
「あーーー」

ふふ。秘密兵器見つけちゃった。
少なくとも一週間は遊べそう。もちろんベッドの中で。

「れいたん、今日はれいたんが溶けてなくなっちゃうまで
かわいがってあげるからね」
「猫なで声キモッ」

ふ、ふん。今は鳥肌立ててても見てろ。すぐに快感にしてやるからッ!

「あ、馬刺し入りチョコケーキ食べないよね?
馬刺しを見なかったことにすればきっと美味しいけど」
「兄貴の体にまぶしたやつなら喜んでいただきます」

早くもいつもと同じオチになりそうな予感!まあいいや。幸せだもん。





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