妹は萌えです でも三次は違うんです
女の子のお祭りだから来てね、って言われて、 久しぶりに訪れた派遣組は部室も様変わりしていたけど、 中にいる人もずいぶん変わっていた。 「チョコたんとこうして一緒にいられるなんて夢のようでござる」 変わっているというのは、不良さんには到底見えないという意味。 私自身はこのタイプの人たちと縁が浅くない。 「チョコたん、キャンディーバー食べるでござるか?」 「うん」 横目でチラチラ見られてるのは気づかないふりをする。 「チョコたん、チョコたんのちっちゃなお口で べろべろはむはむされたらおにいちゃん目の毒でござる・・・」 「御宅田くんの変態!」 そう言いながら番長さんも遠慮がちにちらちら見てる。 「にゃにおう。団吾殿だって妹萌えでござろう!」 「二次と三次は違うよ!」 「チョコたん、『おにいちゃん、お口からはみだしちゃう』って言ってくだされ」 「おにいちゃん・・・」 「言うなッ!」 苦虫を噛み潰したような顔で見ていたお兄ちゃんがついに割り込んできた。 私の手を取って引っ張っていこうとする。 「知世、環境が悪いからもうここには来るな!」 「平気だよ。お兄ちゃんのお友達でしょ」 「そうだけど。お前に悪い風を当てたくない」 そんなに心配するほど気持ち悪くないのに。 欲望なら私にもあるから。 「お兄ちゃんのお友達だから安心だし、 なにかあってもお兄ちゃんが守ってくれるからいいの」 あの晩のことは、お兄ちゃんの中ではなかったことになってるかもしれない。 でも。 「なんといじらしい!火讐殿は果報者でござるな!」 「お前が言うな!つか、聞くな!触るな!寄るな!見るな!」 「それは酷いでござる!オタクにも人権はあるでござる!」 「チョコたん、ごめんね」 「いいんです。楽しいです」 「ほんとに天使でござるな」 天使だったらお兄ちゃんの前だもん、もっとキツいのしてくれてもいいのに、 なんて思わない。 近いうちにまたここに来なくちゃね。 もちろんお兄ちゃんがいる時に。 |
四巻発売記念のレイト←チョコ。「浄化装置」の続きです。