イン○ンでおなぬー野郎だけど本気です


「ん?」

その日の派遣組はいつもと違った雰囲気。
舎弟くんたちが五人ばかり、背を丸めてくいいるように観ているのは
大型のパソコンの画面。
ちら、と覗くと、目に飛び込んできたのは肌色一色の世界だった。

「うわっ」

目を手で覆ってしまったけど、そこは健全な高校男子。
興味のないはずはない。
身を乗り出して、舎弟くん達の背中越しに覗き込む。と。

「て、これ、ホモビデオじゃん!」

そう叫んだオレにお馴染みのトップ3が立て続けに主張する。

「研究だ!」
「兄貴がはまるくらいだからいいに違いない!」
「兄貴にあやかってオレらもこれのよさに目覚めないと!!」

・・・バカすぎる。いや、けなげなんだけど。やっぱりバカすぎる。

「実際、最初はげぇ〜って思うけど、見ているうちにもやもや〜と股間が疼いてくる」

そんなことを真面目な顔で言うなっ。そしてうなづくなっ、ばかっ。

「ちょっとジ○ニデに似てね?」
「洋モノレベル高けーよ」
「安心して観ていられるよな」

和気藹々と語るなよ。君たち女子高生?
ちょっと落ち着こうよ。あきらかに間違ってるよ。

「そんなものを参考にするな」
「兄貴!」

何気に神出鬼没だな、こいつ。

「中に入ってから突撃しつづける、そんな第一次世界大戦の塹壕戦みたいなセックスじゃ気持ちよくならないぞ」

あ、ちょっとかっこいいかも・・・。

「ガンガン動かしてイイのは男・・・いや、つっこんでるほうの男だけじゃ」

腕組みをしてもっともらしく語る。

「兄貴、後学のためにどうすればよくなるか教えてください!」

お前ら、こういうときの息の合い方尋常じゃないな。

「ふむ。まず、入れてしばらくは動かないほうが良い。
じっとして髪を撫でてやったら相手の男はよろこぶであろう」

なんで相手男限定なんだよ・・・なんてツッコむのは野暮だろう。

「入れて出すだけでは味気ない。
一口にはいえないが、速度や角度等、試行錯誤したほうが技術も向上するし、
なんといっても誠意が伝わってよろこばれる」

あの人はよろこぶんだろうにね・・・うん。
ただののろけと暴露になってることなんて、団吾はもちろん気づいてない。

「それから、繋がってる部分を見せるなど言語道断じゃ。
二度とセックスなどさせてくれなくなると思え。
セックスは相手あってのもの。
よいか、現実とAVは違うのじゃ。」
「さすが兄貴!!!」

団吾、例のドレッドくん、顔真っ赤になってきてるぞ。気づこうよ。

「それから、口淫は決して強制してはいけない。
いとしいと思ったら自然と口に入れてくれるはずじゃ」 
「そうなんだ・・・」

ああ、想像してる、想像してる!

「御手洗、そのへんでプライベートの暴露はやめておけ」

出ました、空気の読めるオトナの男!

「へ?プライベート?オイは一般論のつもりで」 
「いやいや。十分興奮させてるから。お前が気づいてないだけで」

そうだよ!この空気どうしてくれる。

「あにきぃ・・・火讐に飽きたらオレにもぜひ」 

ほらさっそく現れた!それにしてもすこしは慎めお前ら!

「オレもオレも」

ガチ祭りになだれ込みそうな雰囲気だよ。オレいやだよ!

「だめだ!」

ふいにさっきまでぷるぷる震えていたドレッドくんが立ち上がり、
鋭い気迫で欲望丸出しの連中を制した。

「火讐さんを泣かせるようなことはオレが許さない」

うそ、カッコいいじゃん!

「オレはどんなに泣いてもいい。だが、火讐さんはだめだ!」

おおお、なんだかんだ言っても兄貴と舎弟の絆は素晴らしい・・・!

「オレはいいんだ・・・!激しいおなぬーで家を揺らしていれば」

それは余計だ!てか、揺らしているのか!激しいな!

「今日も・・・きっとするんだ!兄貴の話をおかずに!いつも以上に激しく!」 

確かにさっきの話はいいオカズになりそうだけども!
うっかりオレも妄想しちゃいそうだけとも!
ほんとにインランおなぬー野郎ばっかだな!

団吾はといえば、この手のめちゃめちゃな展開にすっかり慣れたらしい。

「毎日は、やめておけ」

だって。それでいいのかよ!もうオレつっこみ疲れてきたよ!

ちなみにこの時参加してなかった噂のご当人は
舎弟の口からこのことを聞いてもけろりとしていたらしい。
ほんとにどうでもいいって思われてるな。
どこまでも報われない子だこと!もういとしくなってきたよ!




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