火讐くん、コミケデビューする
だから、来なくていいといったのに・・・。 火讐くん、春コミに出陣するボクらについていくと言って聞かなかった。 だめだって。君が売り子してたらまわりが非常に戸惑うから。 まあ、女性客寄せにはなるかもね。 火讐くんの目のタトゥーや髪もコスプレに見えるかもしれないし。 そんなわけでつれてきたのはいいけれど、やはりといえばこの上もなくやっぱり、 うっかりボクらの同人誌の中身を見てしまってドン引きしている。 「あのね、別にボク自身がこういうことしたいわけじゃないからね?」 いいわけするとますますあやしいことはわかってるんだけど。 「するもなにも、レズだし・・・」 ああ、やめて、その目。君にだけはそんな目で見られたくなかったのに。 でも、わかる。火讐くん、リアル妹がいるんだもの。 チョコたんと同じくらいの年の女の子にこういうことさせてたら引くよね。 「あ・・・その・・・これはレズじゃなくて・・・様式美というか・・・」 いざとなるとマシンガンの如く回る舌もこのときばかりはふるわない。 「生身の女の子じゃなくて、観念的な美少女そのものであって・・・。 ボクは美を追求したいんだ」 「団吾殿、こういうことは言い訳すればするほどどつぼにはまるでござるよ。 素直に認めなされ」 御宅田くんが横から助け舟を出してくれる。 いざとなると頼りになるよね。任せるよ! 「火讐殿、我々はかわいいおにゃのこ同士がいちゃいちゃするのが好きなのでござる」 はい、アウト−−−!! 「ただし、誰でもいいわけではないのでござる。惚れに惚れたキャラだからこそ、 そのキャラを幸せにしたい。恋をしてよりいっそう以上に綺麗になって 愛あるセクロスをして気持ちよくなってほしいのでござる」 「御宅田くん、御宅田くん・・・」 ボクの説明よりよっぽどアウトだよ、それ・・・。 止めようとした矢先に火讐くん、 「なるほど!」 力強く膝を打つ。 え!?いいの!? なんで両方女なんだ!というつっこみはなし!? 「やはり、話せばわかってもらえるでござるな!」 御宅田くんも満足そう。 「愛の形は人それぞれでいいって、兄貴に教えてもらいましたから」 さわやかにそんなこと言わないで・・・! 「さすが団吾殿!」 「団吾殿、喜びなされ。晴れて火讐殿もコミケでビューでござる」 うーん。うーん。人様におすすめできる趣味でないのでなんとも・・・。 「今日はめでたいコミケ記念日ですな!」 い、いいのかなぁ・・・? うーん、うーん、でも、まぁ、とりあえず、 なんだか今日の売り上げは過去最大になりそうな気がするから よしとしよう。 「ちなみに、おにゃのこ同士なのは男遍歴を重ねて堕落して欲しくないからでござるよ。 美少女には綺麗なままでいて欲しいのでござる」 「いや、せっかく丸く収まってるところをわざわざ穿り返すのやめて(泣) ぶっちゃけ、自分でもキモいから、それ(泣)」 |