身の丈にあった幸せ


「見て見て」

団吾殿は輝くばかりの笑顔で拙者の前にさっそうと現れた。
我らが最愛の渚タンの新コスチューム、
肩と背中、そして下っ腹が剥き出しになるだけでなく、
なにげに股間が際どいから、さすがに無理だと思っていたのでござるのに、
さすがでござる。

「すごくいいでござる。ホンモノみたいでござる」

「ホンモノみたい」はコスプレイヤーにとって一番の誉め言葉でござる。
団吾殿もそう?とうれしそう。

「しかし矯正ぱんつの威力はすごいでござるね。
どう見てもおにゃのこの股間でござる」

ひざまづいて、かたちのいいおへその下の黒いぱんちゅの上をつんつん。

「あ、御宅田くん、やめて・・・」
「む。なんでござるか?」

わざとらしく顔を上げてうつむいた表情を覗き込む。

「若干、盛り上がりが・・・」

団吾殿は口元を手で隠してもじもじしている。

「もしかして、履いてなかったのでござるか」

こくん、とうなづく。その様子のかわいらしいことといったら。

「すまなかったでござる。てっきり履いておられるのかと」

履いてなくてもあんまり変わらないのでござるね。
よいオカズ頂いたでござるよ。

「拙者、うっかり、団吾殿のナマモノをツンツンして育ててしまったのでござるね」
「言い方がひわいだよっ」

ふふ。抗議の言葉なんか聞いてやらないでござる。
意地悪く手を動かしてやるでござる。

「アン」

甘ったるい声を上げて腰を引こうとする団吾殿。
その耳元に口を寄せて囁く。

「おにゃのこはつんつんされてもっこりさせちゃいけないのでござる」
「ばか・・・」
「悪い子でござるな」

以前ならそのままなだれこんでいけそうな展開でござるけど。

「てめぇ、御宅田!!」

ほら。きたでござる。拙者の幸せクラッシャーが。

「兄貴のナマモノを育てていいのはオレだけだっ。
あんま大きくはならないけどもっ」
「酷いよっっ」

いいのでござるよ。拙者は。
欲は言わないでござる。
ツンツンできる立場なだけ良いと思うでござるよ。
オタクは与えられたものの中に幸せを見出す名人でござるからな。
拙者はこれからも逞しく生きるでござる。




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