ピアス 団火編


「兄貴とおそろいのピアスしたいです」

枕にうつぶせてぼうっとしていた火讐くんがそんなことをつぶやいた。

「え、え〜?」

ピアスって、火讐くんがたくさんしている、(今は取ってるけど)あれだよね。
痛いの大嫌いだし、いろいろ怖い噂も聞くし、第一耳飾りつける予定もないから、ボクとは無縁のものだと思っていたよ。
でも、火讐くんがどうしても「おそろい」にしたいというなのら・・・。

「片方だけなら」

ボクなりに覚悟を決めてそう答えると、火讐くん、ガバと顔を上げて、

「なに言ってんすか。一本しかないっすよ」

本当にとんでもないこと言い出したよ!

「先っぽに入れると長持ちするようになるらしいっすよ」

言いながらさっそく下にやった指でくりくり回している。
なんて恐ろしい発想をするの君はっっ。

「できれば、わっかをつけてリードを通して犬プレイなども」

ぐいぐい引っ張らないで火讐くんっっっ!!

「こんな敏感なところに穴開けたら死ぬよ」
「そうすね。兄貴のは酷く敏感だから・・・」

そう言って、どぎまぎするボクににっこり笑う。

「ほら、もうこんな」
「び、敏感でごめんね・・・ピアス入れたほうがいいかもね」
「やだなあ。本気にしました?うそですようそ」
「うう・・・酷い」
「これだから兄貴はかわいいんすよ」

そこはあんまりかわいいばかりじゃないのがいいような気がしますけど・・・。
しょんぼりするボクに笑顔の火讐くんが腕を伸ばす。

「兄貴、かわいい・・・」

抱き枕みたいにぎゅうっと抱きしめられる。

「あ・・・」

そのまま覆い被さってきて・・・二回戦になだれこみ。
このノリでボクが受ける側じゃないのっておかしいよね。今更だけと。
終わった後、火讐くん、

「実は、そろそろ『兄貴』って刺青しようと思ってます」

なんて言うから飛び上がりそうになった。

「だめだめっ。なんてこと言うのっ」
「兄貴を体に刻み込みたいんです」
「ボクのせいで君の将来が狭まることなんてボクは望んでないからね」

ビシッと言ってやると、火讐くんの目が輝く。

「兄貴・・・じゃあ尻に入れます。それなら目立たない!『兄貴専用』でもいい!」
「どんだけ羞恥プレイなんだよっっ!」

まんざら冗談でもない気がするから怖いよ、火讐くんだもの(汗)

「タトゥーシールじゃだめなの?」
「シールなんて軟弱っす!オレの心意気を感じて欲しいんす!」
「もう痛いくらい感じてますから!」

ほんとにこの子は、いつもボクをはらはらさせるんだから。
まあ、退屈だけはぜったいしない、これって贅沢な悩みなんだろうけど!




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