突然の目覚め


「しゃぼんたん、ボク、BLの良さがわかってきたみたい」 
「ほんと!すごいじゃない!いい本貸してあげるね」

女の子と普通にこんな話してるって異常なんだけど、
もう慣れた。

「なにがいい?王道の学園モノ?リーマン?
戦場モノなんてのもおすすめよ。死と隣り合わせの恋、萌えるわ」

電話だときっと今までにないほど弾んだ声が聞けるだろう。
こんなつっこんだ話が出来るくせに、いまだにチャットなんだから、
ボクたちオタクって旧さと新しさが混在している。

「それって、やっぱり死ぬ前に、『オレに思い出をくれ』とか言うの?」
「そうよ。ベタだけど萌えるの」 

うん、火讐くんと紋武くんなら似合いそうだよね。
実は、最近あのふたりがあやしいんだ。
それを近場で観ているとなんとなく、ボクも・・・その。

「本命といちゃつく前に、プタのような上官にゴカーンされるのもお約束ね」

どうしよう。とっさに紋武くんが、と考えちゃった。
そういう役回りは紋武くんだよね。

「ブタみたいな相手でいいの?ライバルも美しいほうがよくない?」
「ライバルじゃなくて当て馬だもの。
それに、酷い目にあってこそラストで盛り上がるのよ。
たまたまその現場を目撃した攻めは激昂して上官を暴行、
彼は前線に送られる。
それが、『オレに思い出をくれ・・・』に繋がるの!」

ほんとにベタだ!でも盛り上がりそう。
しかもブタのような上官と聞いて日下くん思い出しちゃった。
日下くんなら、紋部くんでも片手でひょいだし。
火讐くんならかなわないとわかっていても飛び掛っていくだろうな。

「てめぇ、部下掘ってんじゃねえ!職権乱用だろ!!」

すごくらしいなあ。目に見えるようだよ。

「今度一緒に合同誌出そうよ!」

うん、いい絵が浮かんできた。いけそうだよ、しゃぼんたん。




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