人の相性って意外だ。
「戦国バサラって、なんで幸村が信玄に仕えてんだ?」
「そのほうが美味しいからでしょ」
ほんとうに意外。
正直、彼女と火讐くんは犬猿の仲になっても仕方ないと思っていたのに。
いつのまにかしゃぼんたん、普通に派遣組に遊びに来て
漫画なんか読んで帰るようになっていた。
そのうちに、ゲームを通して、火讐くんとも言葉を交わすようになって、
「ぜってぇー姉貴なんて呼ばねーからな!」
「べつに呼んでほしくないです!」
なんて冗談めかして言いながらも、今ではすっかりお茶仲間。
「お前、どんなツラしてホモ描いてんだ?」
「セクハラ!」
ふたりとも、楽しそうだね。仲良くするのはいいことだよ。
「賑やかだな」
「あ、紋武くん」
ぶらりと入ってきた紋武くんをしゃぼんたんに紹介する。
「ひとつお兄さんで物知りだから何でも聞くといいよ」
「ひとつお兄さんは余計だ」
はじめまして、と軽く会釈する紋武くん。
「ちょっと、しゃぼんたん?なに?急にもじもじして」
「いや、ちょっと・・・」
露骨に顔をそむけ、両手を膝の間に入れて貧乏ゆすりまでしている。
「病気が出そうで」
「病気?」
「足がムズムズする」
「まさか、タマ蹴りか?」
しゃぼんたんを心ならずもスケバンとして有名にしたっていうあれね。
でもなして?
「こんな雰囲気のある男の人相手だと・・・」
ちょ、ちょっと面白くないかな?
紋武くんもまんざらでもない顔して!ばか!
「ボクには平気なくせに!」
「まろんくんは男って感じしないから」
う、そんな無邪気な顔でさらっと!
自覚はあるけど、面と向かって言われると傷つくよ。
しかも、とどめの一言付き。
「やっぱりホモだから?」
「酷すぎるよっっ」
「なんだ知ってたんか」
「火讐くん!」
なんで、なんで君たちはそうめちゃくちゃ素なの!おかしいのボクのほう?
「そういや、なにげに兄貴はタマ蹴りは余裕だったっすね」
「ええ?」
泣くほど痛かったけど?あれが余裕な男なんているはずないでしょ。
「そうだな。普通は悶絶する」
「そうなの?」
「やっぱり、大きさが・・・」
「火讐くんも酷いよっ」
今更だけど、女の子の前だからね!
「当たる面積が少ないとダメージも少ない?」
「なんの科学的根拠もないよっ」
「兄貴はほかの野郎より急所が少ないってことですね!さすが兄貴だっ」
いや、火讐くんはこの際、いい。もう慣れた。
でも、しゃぼんたん、君は問題だよ?
「すごいポジティブ!」
シャイな女の子のはずなのに、男たちとシモネタ話して笑ってるし。
だめでしょさすがに。
そうたしなめると、
「腐ってますから!」
だって。
おおいばりだよ!
「まろんくんがオタクとして堂々とすることにしたから、
私も堂々と腐ることにしたの!」
そう言って笑うしゃぼんたんがまぶしいくらい綺麗だったし、
心なしか火讐くんも紋武くんも誇らしげだったから
ま、まあ、いいかな?いいのかな?
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