こっくりエンジェルの秘め事
今日も無事終わった。
たまおは幹久と約束した修行メニューと、台所仕事をすべてこなした。
部屋に戻ると、たまおはまず机に向かった。
仕事が終わると、宿題が待っている。
勤労学生に休む暇はない。
めずらしくすぐ始める気にはならず、なにげなく鉛筆を弄ぶ。
そっと、机の下のほうへ持っていく。
股のところに固い角を押しつけた。
こりこりと擦る。
「ん」
自然に腰が動いた。
いつのまにか覚えていた。
ここを押しつけたり擦ったりすると気持ち良いこと。
なんとなくうしろめたいことだとはわかってる。
だから、ひとりのときだけしかしない。
体の奥が疼く。
熱いものが生まれている。
どんどん膨らんできて、やがて弾けた。
「はあ」
大きく息をついた。
また、してしまった。
終わったあとは罪悪感だけが残る。
ふと、気配を感じてたまおは目を開けた。
「あ、あなたは」
見覚えのある半透明の人物。
鎧を纏った姿はいかめしいが、端麗な顔にはいつもやさしい笑みを浮かべている。
その顔が、困ったような表情でたまおを見おろしていた。
「たまお殿、拙者、葉明殿から言付かって…」
阿弥はさすがに気まずそうだ。
「どこから見ていたんですか」
「拙者、ずっとここにいたでござるから」
やっぱり。
「声をかけようと思ったのでござるが…」
全部、見られていた。
たまおは両手で顔を覆った。
「あ、泣かないで下され」
阿弥が慌てている。
たまおは泣き続けた。
もう生きていられないとさえ思った。
阿弥はその大きな両手でやさしくたまおの肩を包んだ。
「なにも恥ずかしいことではござらん。自然なことでござる」
「うそ」
「うそじゃないでござる」
「たまお殿、こちらを向かれよ」
言われて、仕方なく顔を上げた。
紅い目が間近でたまおを見つめている。
吸い込まれそうな色だった。
たまおはその色に引き込まれる。
紅い色が次第に近づいてきた。
あまりに近づきすぎて、たまおは思わず目を閉じた。
唇に、やわらかいものが触れた。
キスなんて、もちろん初めてで。
その上、舌まで絡め合うものだなんて考えもしなかった。
「んん…」
苦しい。
それでも応えてしまう自分が不思議。
相手が女の人だからだろうか。
からだが熱くて身を悶えしてしまった。
生きている人のように、吐息が熱い。
阿弥の唇はあごから喉へとゆっくり降りていった。
シャツがまくられる。
まだブラジャーもしていない、幼い胸が露わになった。
阿弥はしばらくそれを見ていたが、やがてピンクの突起を唇でついばんだ。
「あ、」
我慢できずに声が漏れた。
突起の頂点を擦るように丁寧に舐める。
たまおはこぶしを握り締めて耐えた。
そうしてないと、今にも叫び出しそうだった。
感じてる、のだろうか。
よくわからないけれど、これはきっとそう。
履いていたズボンはもうとっくに足首まで引き下ろされている。
下腹部のなだらかな丘に手が触れる。
「だめ、だめです」
指先が円を描いている。
背筋がぞくっとした。
その間に、長い指がするりと下着の中にもぐり込んだ。
とうとう、一番いけない部分をとらわれた。
じんわり、忍び込んでくる。
恥ずかしさに身もだえしたくなる。
楽しそうな声がした。
「よく濡れてる」
たまは顔を上げた。
「ぬ、濡れてるんですか…」
実感がない。
聞いたことはあるけれど、自分がそうなるなんて信じられない。
阿弥は笑った。
綺麗な笑顔だと思った。
「たまお殿は可愛いでござるな」
そう言って、指を出し入れする。
「ほら、音がする」
子猫がミルクを飲んでいるようなちいさな音が耳に入る。
「なぜこんな音がするのでござるか。いやらしいでござるなあ」
「いや…」
頭の中が熱くなる。
また、きつく目を閉じる。
その間も脚の間で手が動いている。
どんどんへんな感じになってくる。
指はたまおのその部分をゆっくりと往復した。
「ん…ん、ん…」
入り口を貫いた指がピストン運動を開始する。
「や…もう…」
彼女はこの上もなくやさしくささやいた。
「いっていいでござるよ」
「いくって…」
「気持ち良くなればいいのでござる。全部拙者に委ねて」
阿弥はたまおに声をかけながら、指を激しく動かしていく。
「あ、あ、あ…」
腰をがくがく上下させながら、たまおは感じ入った声を上げた。
そして次の瞬間、全身を震わせながら、昇りつめていった。
その夜、たまおは阿弥の腕の中で眠りについた
なんだか幸せな気分だったのは覚えている。
はじめて自分を解放できた気がした。
きっと、もう恥ずかしいとは思わないだろう。
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